フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

多彩なフード出店も魅力のひとつ。結いのおとで味の世界旅へ。

多彩なフード出店も魅力のひとつ。結いのおとで味の世界旅へ。

茨城県結城市。東北本線で小山まで行き、水戸線に乗り換えて2駅目。日本を代表する絹織物の結城紬の里として知られてはいるものの、観光名所や温泉があるわけでもなく、なかなか訪れる機会のない街と言えるだろう。街に点在する蔵や寺社をライブ会場として、街を回遊させることでここの魅力を感じてもらおうとスタートしたのが、街中フェス「結いのおと」だ。

 11回目を迎えた今年は、街中ではなく市民文化センターをライブ会場にして開催された。ライブとともに、「結いのおと」の魅力を支えるマーケット&フード出店は、市民文化センターと隣接する公園に並んだ。

「出演するバンドのライブを見に行くことはもちろんなのですけど、フード出店してもらうお店も必ず食べに行ってから出店をお願いしています」とオーガナイザーの野口純一さん。このこだわりこそ、「結いのおと」のフード出店の人気の秘密なのだろう。茨城や栃木などの近場のお店だけではなく、フェスではなかなか見かけることのない東京の人気店もラインナップされている。マーケットを歩いていて、どれを食べようか、本当に目移りしてしまう。

 そして今年の「結いのおと」でメニュー選びのテーマにしたのが「世界の味の旅」。

~イタリア~
IL GATTINO:イタリアもつ煮  600円
ココ・ファーム・ワイナリー:白ワイン 500円



 IL GATTINOは結城にあるイタリアン・レストラン。この日のメニューにはなかったけれど、「日本では珍しいヴェネトピッツァ(小麦粉と大豆粉を使用した生地)のお店」だという。イタリアもつ煮のもつはトリッパとギアラを使用。トマトの酸味ともつの甘みが相まって、ワインのおともとしても最適だった。
 ワインをオーダーしたのが、IL GATTINOの隣で出店していたココ・ファーム・ワイナリー。1950年代に栃木県足利市の特殊学級の中学生たちとその担任教師によって開墾された葡萄畑がこのワイナリーのそもそものはじまりで、69年にはこの葡萄畑の麓で指定障害者支援施設がスタートした。現在でも、施設の園生たちが葡萄畑で作業をし、その葡萄を使ったワインが醸造されている。味も品質にもこだわったワインが、美味しくないわけがない。スッキリとした白ワインがトマト煮にマッチしていたのは当然といえば当然。ちなみにココ・ファーム・ワイナリーは、30年近く前にフェスおじさんが初めて参加した野外レイブの会場でもある。






~メキシコ~
Mexican Kitchen バルバ:タコス2P  800円



 結城の隣町の古河市にあるメキシカン・レストラン。ポークとチキンをそれぞれ1Pずつ。カルタニスは塊肉を長時間かけて軟らかくなるまでじっくり調理して細かく裂いたもの。ティンガはトマト&トウガラシ煮。いずれもメキシコの調理法で、ここのタコスにそれが明記されているのだから、メキシコの味へのこだわりが見て取れる。味はもちろん間違いなし。タコスでは、具をいっぱい詰め込んだことによる食べにくさがあったりするけれど、バルバのタコスにはそんなこともなかった。





~インド~
チャイ屋ヨギー:南インドカレー 900円



 北関東を中心に、いろんなフェスやイベントに出店しているチャイ屋ヨギー。出店数は10年ちょっとで600を超えるという。チャイ屋ヨギーが、飲食出店スタート時からメインのメニューとして提供しているのが南インドカレー。粒6種パウダー3種を使ったレシピは変わっていないよいう。「インド産スパイスをこれでもかっと投入した」カレーは、確かに辛い刺激はあるのだけど、辛すぎず、クセになってしまうような味。きっとそれが「おいしいカレー」なのだろう。量はそれなりにあるのに、さらっと食べられるのも不思議。





~日本~
味噌湯 志なだ:味噌湯 600円



 味の世界旅をして、やっぱり戻ってくるのが「日本の味」。そして結いのおとのシメメニューとして目に飛び込んできたのがここ。味噌汁ではなく「味噌湯」というのが、おじさんにはそそられる。カツオ節とマグロ節をふんだんに使って出汁をとり、そこに味噌を少しだけ入れる。お湯を沸かすのは鉄瓶。具がないのだけど、それがむしろ出汁や味噌の味を引き立ててくれる。飲んで「整う」感覚を味わえた。





<text・photo=菊地 崇>




結いのおと 2024
日時:2024年4月20日(土)、21日(日)
会場:茨城県結城市 
〈HALL〉結城市民文化センターアクロス(第1・2ホール)/結城市南部中央公園(けやき公園)
https://www.yuinote.jp