フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

池子の森の音楽祭には、逗子〜湘南の個人経営の人気店が集結。

池子の森の音楽祭には、逗子〜湘南の個人経営の人気店が集結。


 神奈川県逗子市にある池子住宅地区。在日米軍の施設であり、なかなか入ることができなかったエリアだ。およそ20年前に一部が返還されることが決まり、2015年に開園したのが池子の森自然公園。池子の森の音楽祭は、この池子の森自然公園の運動場が会場だ。かつて米軍の管理下にあった運動場だけあって、スコアボードは野球ではなく、アメリカンフットボール。それだけでも、なんか違う空気が漂っているように感じてしまう。

 音楽も、食も、ローカルにこだわった音楽祭で、初めて開催されたのが2017年。逗子アートフェスティバルのファイナル企画としてだった。

 陸上のトラックに沿うようなスタイルで、出店が並んでいた。その数、20あまり。お店の営業の関係なのか、土曜のみ、日曜のみの出店もある。逗子や鎌倉、湘南など地元のお店がほとんど。運営スタッフが実際にお店に食べに行って出店を依頼していることも多いという。まずはひと回りして、気になるお店をチェック。フェスやイベントでは初めて見るお店ばかりが並んでいた。

 
オイチイチ/中華蒸しサンド1,000円


 





 中華蒸しパンに惹かれてオーダー。オイチイチは鎌倉大町にお店があって、現在は主にランチ営業をしているという。オイチイチのインスタグラムには、「巷で噂のよく休む店」という紹介も載っていた。サンドの具材は蒸し鶏と鯖竜田揚げの2種類があって、鯖をチョイス。パンの生地はほんのり甘さがあって、鯖の竜田揚げとのバランスが絶妙だった。花椒なのか、八角なのか、何を使っているのかわからないけれど、味の奥底にはそんな味付けもある。

 おやつというほど軽くもなく、食事というほど重くもない。懐かしくもあり新鮮でもある。あきのこない味で、次は蒸し鶏を食べたい。並べられていたクラフトジンは、オイチイチの夜の部を担当していたご主人が、数年前に長野県ではじめた蒸留所で作っているものだとか。きっと蒸しパンにも合うジンに違いない。



ビリヤニすいさんしつ(流しのビリヤニ)/チキンビリヤニ1,000円


 カレーはもちろん大好きなのだけど、最近はビリヤニに足が向かってしまうことも多い。フェスではビリヤニがそれほど多くないこともあるのだろうし、ボリュームのわりには重くならない感じが、自分にとってフェスではマッチしているのだろう。
 東京の日本橋にあるお店は「ビリヤニすいさんしつ」。最近、静岡に2店舗目をオープン。フェスやイベントへの出店の際の店舗名が「流しのビリヤニ」。チキン、スパイス、ヨーグルトをマリネし、下ゆでしたバスティマライスと一緒に炊き込んでいるという。スパイスの香りはするものの、辛さはほとんどなくて誰もが食べやすいと感じる味。途中でミルチカサラン(唐辛子とピーナッツのカレー)を投下して味変。刺激的な味になった。カレーほど鮮明ではないけれど、ビリヤニもそれぞれのお店で個性がある。

 








<text・photo=菊地 崇>






池子の森の音楽祭
日時:2024年10月5日(土)、6日(日)
会場:池子の森自然公園400mトラック
https://ikegomorifes.com