フェス飯クラブ

現地レポート

FESTIVAL de FRUEは音楽と同様にフードにもこだわりあり。予約が取れない名店の味を堪能

2023.12.06
FESTIVAL de FRUEは音楽と同様にフードにもこだわりあり。予約が取れない名店の味を堪能
   かなりディープなラインナップで、他の日本のフェスでは得られない音楽体験を導いてくれるFESTIVAL de FRUE。ブラジル音楽界が世界に誇る奇才=エルメート・パスコアールや、サックスとドラム+キーボードのピエロ二人組というクラウン・コアなど、今年も日本のフェスでは異色とも思えるアーティストを数多く招聘して開催された。売れているとか、広く名前が知られているとかではなく、ライブにおける音楽性にこだわったFRUEのラインナップは信頼を集めている。その信頼は開催を重ねることによって、より広がってきている。今年は来場者が今まででもっとも多く感じられたのがその証明だ。

 こだわりから醸成される信頼感は、「フード」についても同じだ。他のフェスには見かけることがない飲食店。食べることでも「ここにしかない」ものを味わうことができる。


Simples:パルメザンチーズパスタ 1,000円


 今年は2日目だけの参加で、しかも昼過ぎに到着したこともあって、会場についてすぐにシンプルズへ。去年食べたシラスと浜名湖青のりパスタが絶品で、とにかくここで何かを食べたかったからだ。メニューを見ると、すでに売り切れが多い。ランチ時間だったこともあって、パスタでひとつだけ残っていたパルメザンチーズをオーダー。

 自家製麺とメニューには掲載されていた。モチモチ感のある太めの麺。具材が乗っているわけでなく、パルメザンチーズとメニューにある通りのシンプルなパスタ。チーズのパスタだけだと、食べているうちにクドくなってきたり、味に飽きてきてしまうのだけど、それがまったくない。絶妙な味だった。FRUEでの出店では毎年メニューが変わっているという。パルメザンは23年のスペシャルパスタだということを食べた後に知った。






Medel Deli:バナナスムージー 800円


 東京・恵比寿にあるメデルデリ。「人にやさしい食べ物は地球にもやさしい」をコンセプトに、白砂糖や添加物を使用せず、厳選した素材を使ったメニューで人気を集めている。FRUEにおいても、オーガニックバナナのスムージーを展開。

 フェスでのドリンクはアルコールが中心になってしまうのだけど、中休みというか、次に向かうためのクッションとしても最適だった。オーガニックバナナの甘さが、カラダを優しくリフレッシュしてくれた。






LA CASA DI Tetsuo Ota:信州風ラグーソースパスタ 1,600円


 FRUEでは体験したライブの感想とともに、何が美味しかったのかもよく話題になる。それだけ、みんなが食べることも遊びのコンテンツに入れているということなのだろう。2日目の夜ともなると、売り切れになってしまったメニューも多い。そんな時に、「これを絶対に食べておくべき」と言われたのが、ラ・カーサ・ディ・テツオ・オオタの信州風ラグーソースパスタだった。昼もパスタでちょっとためらいもあったものの、「食べなきゃ後悔する」とまで言われたのだから、2食続けてパスタを食べることにした。

「ラグー」とはフランス語やイタリア語で「煮込む」という意味だとか。信州豚、ダボス牛、信州軍鶏、信州地鶏、天然きのこなどが煮込まれた信州風ラグー。複雑でありながら、それぞれの味が混ざり合い、深い味わいになっている。濃いわけではなく、コクがありつつも、食後感はあっさりしている。確かに「食べなきゃ後悔する」ということが頷ける味だ。

 戻ってからFRUEのホームページを見たら「イタリア、スペイン、ペルーでキャリアを重ねたシェフが運営する、軽井沢レイクガーデン内にある完全予約制不定休営業のレストラン兼菓子工房。次の予約は5年後、という笑っちゃうくらい予約の取れないレストラン」と書かれていた。今年でFRUEには3年目の出店だという。きっと来年も出店する。この店の1年待ちは決して長くない。




<text・photo=菊地 崇>


FESTIVAL de FRUE 2023
日時:2023年11月3日(金)4日(土)
会場:つま恋リゾート彩の郷
https://festivaldefrue.com
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

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