フェス飯クラブ

現地レポート

遊睦民祭の中の東北村。様々なものが一堂に会していた祭りの核

2023.11.26
遊睦民祭の中の東北村。様々なものが一堂に会していた祭りの核
「遊睦民祭」が開催されたのは山形の蔵王温泉総合グラウンド。ふたつのステージと櫓、横丁を思わせる本部の物販と酒場。そしてそれらを囲むように配置された飲食とフリマの出店。それほど広くはない会場の中に、多種多様なものが入り混じっている。それが「遊睦民祭」や「橋の下」の魅力なのだろう。いろんな出会いがそこにある。







 もっともいろんなものが「入り混じって」いたのが東北村かもしれない。夜になればスケジュールには載っていないライブが投げ銭スタイルで行われ、ナイトクラブのように賑わう。エントランスではGravityfreeがライブペインティングをしている。この村をオーガナイズしていたのが仙台の片山文太郎商店。このお店の自家製燻製のスモークミックスナッツは、フェスに限らず全国の音の鳴る場所で人気を集めているメニューだ。片山文太郎商店が中心となって「橋の下」でも開村している東北村を、自分たちのローカルである東北でもさらに深くおもしろいエリアにしたい。そんな思いが詰まった村になっていた。


うおなべ:寿司(マグロ・メダイ) 投げ銭


 フェスでは初めての体験だった。値段が提示されていない寿司。けれど寿司屋によくある時価ではなく、あくまでも投げ銭スタイル。かつて「橋の下」が入場無料で開催されていたことから、「遊睦民祭」でもその文化が継承されている。受け取ったものの対価を自分で決めて、投げ銭として返していく。

 写真で見ればわかるように、しっかり手仕事がなされた小ぶりの寿司。長崎産のメダイは柚子胡椒と天然塩でさっぱりと、赤身のマグロはまったりと。深夜になってのオープンだったけど、これなら胃にもたれることもない。ちなみに実店舗は東北ではなく埼玉の川口で、店名は「タイヨウノトビラ」。




たこ八郎:たこ焼き 500円


 昼から夜まで、ずっと焼きっぱなしだったのがたこ焼き。小さめのたこ焼きは外がカリッで中がフワッ。間食にちょうどよくて、結局3日間毎日食べた。

 このたこ八郎、山形でサンディニスタというライブハウスを営んでいるYさんが、コロナ禍でライブやイベントができなくなったことをきっかけに始めたという。今年20周年を迎えたサンディニスタ。メジャーではない数多くのアーティストを山形に呼び、パーティーやライブシーンを山形で形成してきた。こんな場所があるからこそ、フェスカルチャーが山形に根付いているのだろう。たこ八郎は山形市内で現在移転準備中。




MUCHAS:チキンタコス 600円

 
 山形市にあるメキシコ料理店のムーチャス。生地から作ったトルティーヤを鉄板で焼いて、チキンやサルサソースを加えていく。焼いたときに程よく滑らかになった2種のチーズと最後にお好みで絞ったライムが味のポイントとなっていた。

 東北の山形でも開催時期の9月はまだ暑さが続いていた。そんな天候のなかでのタコス&ビールと音楽。合わないわけがない。






<text・photo=菊地 崇>


遊睦民祭 in 蔵王
日時:2023年9月22日(金)〜24日(日)
会場:山形県 蔵王温泉総合グラウンド
https://nolad.jp
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

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