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フジロック/その日の朝に焼いた天然酵母パンが並ぶ「 ルヴァン」

2023.07.25
フジロック/その日の朝に焼いた天然酵母パンが並ぶ「 ルヴァン」
   ルヴァンとはフランス語で「発酵種」を意味している。パンを発酵させるための種のことであり、小麦粉と水だけで作られる自然性天然酵母のこと。

 日本の天然酵母パンの草分け的存在と言っていい「ルヴァン」。食べログでは「パン百名店」にも選出されている老舗パン店だ。ナチュラルハウスなどへの卸しとして甲田幹夫さんがパンを作りはじめたのが1984年のことだった。その後、1989年(平成元年)に代々木八幡にお店「ルヴァン」をオープン。甲田さんの故郷である信州上田で2号店をはじめたのが2004年だ。

 フジロックには、苗場の2年目から出店している。代々木公園でのアースガーデンなどのフェスには出店していたものの、お店から遠い場所への出店はフジロックが初めてだった。

 フジロックへの出店を誘ったのが芳賀義久さん。1999年にフジロックに遊びに来た芳賀さんが、フィールドオブヘブンへの出店を探しているという話を耳にして、「ルヴァンならヘブンに合う」と思い、甲田さんを誘ったという。

「ルヴァンのパンが好きで、このパンのことをもっと広げたいって思っていました。当時のフェスにはパン屋がほとんど出店していなかったんですね。小腹がすいたときにパンなら気軽に食べられるだろうって思って。フジロックのことを甲田さんに話したら『それはなんだ?』みたいな話になったんですけど、楽しみながらやれるのならいいかっていうことになりました。それからずっとフジロックでの出店は続いています」と芳賀さん。



「野外が好き」というのが、甲田さんがフジロックに出店を決めた理由だったという。ルヴァンの主力は、カンパーニュと呼ばれている固めのパンだ。全粒粉のパンで、小麦が詰まっているから腹持ちがいい。甲田さんによると天然酵母だから腸にも優しいという。出店した当初は、オーガニックレストランと2軒で半々にして出店していた。そのお店が出店できなくなり、以降ルヴァン単独でフジロックに参加し続けている。

「最初はサンドイッチとか揚げたものを挟んだり、いろいろメニューを考えて提供していました。でもいろいろやるよりも、絞ったほうがうちらしいかなって。今はバターとハチミツのバタハチっていうのがメイン。パンってお皿とか箸とかいらないから、フェスには合っているんですよ」と甲田さん。



 ルヴァンのこだわりは、「朝に焼いたものを提供する」ということ。苗場ではパンを焼けないから、代々木八幡か上田のお店で焼いたものを、毎日苗場に届けている。甲田さんが車を走らせることも少なくない。

「パンってやっぱりその日のものなんですよね。フジロックだと3日。最初に持ってきたものを最後の日に売るとなったら、やっぱり古くなっちゃう。カンパーニュは、他のパンに比べたら日持ちするパンではあるんですけど」と甲田さん。



 コロナ前まではフィールドオブヘブンでの出店が続いていたけれど、今年は昨年に続いてオレンジカフェに出店する。

「年に1回、フジロックで会える人たちがいる。それが楽しいんですよね」と甲田さん。

「全国に甲田さんのお弟子さんみたいな方がいるんですよ。そういう人たちも、ルヴァンのパンを買いに来てくれる。パンが美味しいっていうことはもちろんなんですけど、甲田さんが魅力的だってことがルヴァンの人気の源泉であり、こうして20年以上もフジロックに参加しづづけられている要因だと思っています」と芳賀さん。





 今年も、日本を代表する天然酵母のカンパーニュが苗場に並ぶ。朝にパン工房で焼かれたたパンが苗場に届けられる。

▶︎FUJI ROCK FESTIVAL '23 出店エリア ORANGE CAFÉ
 
ルヴァン
ルヴァンの天然酵母のパン・カンパーニュにバターとハチミツを塗った、フジロックでしか食べれない、フジロック定番メニュー!!


<text=菊地 崇 photo=片岡一史>


FUJI ROCK FESTIVAL '23
日時:2023年7月28日(金)〜30日(日)
会場:苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

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