フェス飯クラブ

現地レポート

世界レベルのアーティストが集うラブシューで、日本が世界に誇るウイスキーを味わう

2023.07.04
世界レベルのアーティストが集うラブシューで、日本が世界に誇るウイスキーを味わう
   今年で2回目の開催となった「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN(ラブシュー)」。「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL」はイギリスで2013年に産声をあげたジャズフェスで、日本では2020年に初開催が予定されていたが、新型コロナウイルスによって中止。やっと去年スタートした。

 会場は埼玉県秩父市の秩父ミューズパーク。広大な森林公園で、収容5,000人を誇る野外ステージがメイン会場(THEATER STAGE)だ。歩いて2分〜3分程度のところにある芝生エリアがサブステージ(GREEN STAGE)。今年のヘッドライナーは初日が誰もがファンクの最高峰と認めるジョージ・クリントン、2日目がロバート・グラスパー、カマシ・ワシントン、テラス・マーティンという現代ジャズのトッププレイヤーが集結したディナーパーティー。入場無料のオフィシャルバーやフードエリアにはDJテントもあって、公園に遊びに来た人も、音楽と食は楽しめるエリアセッティングになっている。

 フードエリアの出店は20軒近く。ほとんどが地元メニューをアピールしている。「秩父わらじカツ丼」「秩父豚みそ焼きそば」「みそポテト」「秩父ホルモン」「しゃくし菜焼きそば」といったラインナップだ。

バーチェアリー:イチローズモルト・緑のはっぱ 1,200円





 そのなかで、まず最初に並んだのがメインステージの入場口に一番近くにあったのが「バーチェアリー」。とにかく、イチローズモルトのラインナップがすごい。イチローズモルトは2008年に稼業した、まだ歴史の浅い小さなディスティラリー(蒸溜酒製造所)ではあるものの、その質の高さと味の良さから世界から注目を集めている。白ラベルの「モルト&グレーン ワールド・ブレンデッド・ウイスキー」はこだわりのウイスキーを集めた酒屋さんで見かけることはあっても、他の種類は秩父ではないエリアでは、なかなかお目にかかれないと言われている。

「バーチェアリー」のブースには、見たことがないイチローズモルトも鎮座していた。その数、10種以上。どれを頼んでいいのかまったくわからず、お店の人に相談して決めたのが「ダブルディスティラリーズ」。通称「緑のはっぱ」。ストレートで飲んでみたかったけど、自重して水割りに。ほのかな甘さのなかにスパイシーさも感じさせてくれたる深い味わいだ。一杯1,200円でも納得。できれば紙コップではなく、グラスで味わいたかった(野外フェスでは難しいんだろうけど)。ちなみに秩父駅近くにあるお店には、常時100種類ものイチローズモルトがラインナップされているという。お店にも行ってみたい。

横瀬そばの会:もりそば・しいたけ天ぷら 1,000円





 イチローズモルトを飲んで、すっきりしたくて選んだのがそば。考えてみると、ラーメンやうどんはフェスでよく見かけるけれど、そばの出店はあまり記憶にない。しかもかけそばではなくもりそばは、もしかしたらフェスで食べたのは初めてかもしれない。

 秩父市の隣にある横瀬町。横瀬そばの会は、町内の遊休農地を借り、自分たちで夏に播種し、秋に収穫したそばの実をだけを使って、石臼にて丁寧に製粉したそば粉のみを使用しているという。このこだわりが詰まった謳い文句に期待して食べたけれど、その期待以上の味だった。立ち食いそば的な味を考えていたけど、人気店に匹敵するほどのそば。厚めの原木しいたけもジューシーで食べ応えがあって、ここのそば&天ぷらは毎日食べてもいいと思えたほどだ。しかもトロッとしたそば湯までもお願いすると出してくれる。野外の味ではなくお店の味。マイナスポイントがあるとすればチューブのわさびのみ。来年も、行ったら並んででも絶対に食べるだろう。





Y’s Dining :みそポテト 300円



 ちょっと小腹がすいたので、おやつ的にピックアップしたのがみそポテト。みそポテトは、「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で優勝したことで知名度が上がったと言われている。ここのみそポテトは、甘いみそだれがあげたジャガイモにたっぷりかけられている。串に刺してあって、食べ歩きにも最適だ。おやつにはもちろん、おつまみとしてもいいだろう。イチローズモルトのハイボールにマッチするのは間違いない。



 ラブシューでは、フェス飯というよりも秩父地元飯と呼んだほうがいい出店ラインナップだった。これもそのフェスのひとつの、そして大きな特徴になるのだろう。ラブシューのホームページにはフードのページがないので、どんなお店が出るのか、どんなメニューがあるのかが事前に分からない。来年はフェス飯クラブで掲載をできるようにがんばります!



<text・photo=菊地 崇>


Love Supreme Jazz Festival 2023
日時:2023年5月13日(土)14日(日)
会場:埼玉県・秩父ミューズパーク
https://lovesupremefestival.jp
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

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