フェス飯クラブ

現地レポート

FRUEでフェス呑み。キャンプインフェスには肴もいろいろある

2022.11.22
FRUEでフェス呑み。キャンプインフェスには肴もいろいろある
    静岡県掛川市のつま恋リゾートを会場にするFESTIVAL de FRUE。コロナ禍においても途切れることなく、毎年開催を続けてきた数少ないフェスのひとつだ。「魂の震える音楽体験」をテーマに、日本で売れているかどうか、名が知られているかどうかではなく、ライブでどんな体験を味あわせてくれるのかということにこだわり、出演するアーティストを選定してきたFRUE。だからこそFRUEには特別な時間があり、その魅力が少しずつかもしれないけど、草の根的に広がってきていることを実感できたのが、6回目の今年のFRUEだった。

 音楽だけではなく、フードでも同じことが言えるのかもしれない。開催当初から「オーガニック、化学調味料NG」というザックリしたコンセプトのなか、今年は出店数が増え、どれも美味しそうなメニューが並んでいた。他のフェスでは見たことがない出店ばかりだ。2日間という決められた時間のなか、どのメニューをチョイスすればいいのか。「いろんなものを食べたい」。その答えのひとつとして浮かんだのがお酒の肴。考えてみれば、その場所に泊まることができるキャンプインフェスの魅力のひとつは、帰りの足を気にすることなく昼間からお酒が飲めること。野外で、音楽を楽しみながら飲むアルコールは、本当にうまい。フェス呑みって最高なんだから。




Simples:ソーセージと白いんげん豆 650円
 FRUEのメインステージとなっているのがイベントホールだ。ホールと言っても、完璧な屋内というわけではない。いわゆるエントランスホール的なところに、飲食ブースが並んでいる。フロアに行くメイン動線のところにあるのがSimples(シンプルズ)。Simplesは毎年同じところに出店している。静岡のブランド豚であるルイビ豚(ルイビぶた、決してルイビトンと呼ぶわけでないのでご注意)をメニューに掲げている。そのなかのひとつが「ソーセージといんげん豆」。そういえば同じ静岡県内で開催されている朝霧JAMにもルイビ豚のメニューを出す店があったっけ。

 650円という値段も、つまみっぽい。ソーセージの味付けはシンプル。くどくない甘さが口のなかでとけていく。日本で食されている多くの三元豚の脂身の融点が約38度であるのに対し、ルイビ(LYB)豚の脂身の融点は32.5度と低いという。だからなのか、脂がしつこくないというか、胃に重くないというか。ソーセージの他に炭火のローストもあったけど、それは来年に。

 他にこのSimplesで目に止まったのが「時価の魚料理」。フェスで時価ってはじめて見た。メニューを聞いたら白身魚のグリルで1600円とか。これも来年への持ち越し。








荒木町ろっかん:羊出汁おでん 800円
 フェスで酒の肴を探しても、そんなに見つかるものではない。けれど、ここには最適のものがあった。夜になり徐々に冷えてきてからのおでんは、身体の芯から温めてくれて、その満足感で心も温めてくれる。

 鶏の出汁でもなく、鰹や昆布の出汁でもない、羊の出汁。羊特有の匂いがあるのかなって思ったのだけど、まったくない。大根、昆布、卵、羊肉の4つの具が入っている。大根は出汁が染みていて、骨つきの羊肉はボリュームもあった。こってりではなくあっさりした味付け。日本酒に合いそうな味で、クイクイ呑んじゃいそうな純米の日本酒もセレクトされている。けれどさすがに日本酒は自重。日本酒は呑んでしまうと、寝てしまう可能性があるから。ろっかんの前には日本酒ケースでテーブルや椅子が作られ、あたかも居酒屋のような空間になっていた。メインステージは午前3時までライブがあって、ろっかん居酒屋はだいぶ遅くまで賑わっていた。やっぱり、みんなフェスでも呑みたいんだよ。

 日曜になったら、ろっかんのところにあったのは蕎麦屋。確かに日曜はキャンプインで泊まることはできなかったから、土曜のみの営業っていうのも理にかなってはいる。






<text・photo=菊地 崇>


FESTIVAL de FRUE 2022
日時:2022年11月5日(土)6日(日)
会場:つま恋リゾート彩の郷
https://festivaldefrue.com/2022/
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさんのすべての投稿を表示