フェス飯クラブ

フェスのおすすめ店舗

フジロック/ヘブンといえばこの店「プライマル」

2023.07.25
フジロック/ヘブンといえばこの店「プライマル」
    エリアを囲むように出店が並んでいたフジロックのフィールド・オブ・ヘブンの風景。飲食もあり、ヘンプなどのアパレルがあり、クラフトビールもある。多種多様なショップが一堂に会していた。「ナチュラル」であったり「自由」であったりというテーマを共通して根本に抱えていた出店者たちも、ヘブンの雰囲気を作っていたと言っても過言ではないだろう。プライマルは数軒ある飲食ブースのひとつで、2004年に初出店した。

「初出店の時は、プライマルという名前ではなかったんですね。2004年に代々木公園で開催されたアースデイに出店して、そこでフジロックに出てみないかって声をかけていただいて。イベント出店を始めた年に、右も左もわからないまま、フジロックに来ちゃった。それまで出ていたイベントより過酷だったけど、過酷だったからこそ楽しかったんですよ。当初はイーライフっていう屋号でやっていたんですけど、数年後に僕が引き継いで独立したんです」とプライマル代表の植村正秀さん。



 以前はカレーやロコモコなどのメニューもラインナップしていたけれど、現在の主力はキューバサンド。アメリカ・フロリダが発祥とされているが、日本では2014年に公開された映画『シェフ』によって少しずつ認知されたメニューだ。プライマルがいろんなフェスやイベントでキューバサンドを提供したことによって、キューバサンドが日本で広まっていった要因のひとつと言っていい。



「フェス飯と呼ばれるようになって、食べ物もフェスでの重要なコンテンツのひとつになってきました。いろんなメニューを揃えているよりも、こだわりのある専門店の方がより求められている。それって時代の流れもあったんでしょうね。メニューもちょっとずつ変えていって、2018年からキューバサンドを始めました。キューバサンドを試そうと思った時には、日本では食べられるところがほとんどなかったし、参考にするものも見つけられない状況でした。海外のサイトを調べて、こう作っていったら絶対こういう味になるよねっていう方向性が少しずつ見えてきて。そしてプラスアルファで美味しさを探求して、今の味に落ち着いています」

 オーブンで3~4時間かけて低温で焼いたポークとハムとチーズ。パンにバターをぬり、それらの具材をサンドイッチしてプレスして焼く。暖かい食べ物によって、カラダも心も暖まるという経験をした人も少なくないはずだ。特に野外では、ホットメニューでホッとすることも多い。



「僕にとって、フェス飯ってコミュニケーションツールなんですね。食べ物があることによって、みんなが立ち寄ってくれる。フジロックはその感覚が強いですよ。もちろん仕事で来てはいるんだけど、仕事じゃない部分の要素が大きいっていうか。プラスアルファのワクワク感が自分たちにもある。フジロックっていう場所に居られる幸せ感。他のどのフェスよりも苗場にいるほうが仲間に会えるんですね。みんなに会って得られる安心感はフジロックだけのものです。究極的な目標としては、会場の装飾の一部になりたいっていうこと。フェスという夢の異空間の装飾物のひとつになりたいって思っています」

 エリアの雰囲気を作り上げていくこと。そして食べるものによって人と人を繋いでいくこと。みんなに楽しんでもらうために出店スタイルにも様々なアイデアをプラスしていくこと。フェス全体の中での飲食出店のミッションは、ここにもあるのだろう。

▶︎FUJI ROCK FESTIVAL '23 出店エリア ORANGE CAFÉ
 
PRIMAL
ナチュラル&クラフトがコンセプトの老舗 フードトラックのPRIMALです。自家製ローストポークを使用したオリジナルキューバサンドと産地直送のじゃがいもを使用したプレミアムフレンチフライなど人気のメニューをご用意して皆様のお越しをお待ちしています。


<text=菊地 崇 photo=片岡一史>


FUJI ROCK FESTIVAL '23
日時:2023年7月28日(金)〜30日(日)
会場:苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさんのすべての投稿を表示