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フジロック/伝説の第1回目から出店している「長城菜館」

2023.07.25
フジロック/伝説の第1回目から出店している「長城菜館」
    今から四半世紀以上前に開催された第1回のフジロック。99年から続いている苗場ではなく、富士山の裾野に広がる天神山スキー場が会場だった。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、エイフェックス・ツイン、フー・ファイターズなど、その後のフジロックでヘッドライナーを務めることになるアーティストが初日のステージに立った。翌2日目は台風の直撃にあって中止。日本のフェス史の1ページを記した伝説の週末となった初回のフジロックから、長城菜館は飲食出店を続けている。

「こういうイベントをやるから出ませんかってお誘いがあって。もともと音楽が好きだったので、喜んで参加しますって返事をしました」と語るのは長城菜館代表の張 躍斌(チョウヨンビン)さん。当時は東京・新小岩にお店があり、フジロックをきっかけにフェスやイベントへの出店が多くなってきたこともあり、知人に新小岩のお店は譲ったという。



「1回目のフジロックは、出店していた僕たちよりも、お客さんたちが大変だったんじゃないかと思うんです。薄着で来ている人も多かった。イベントに出店することはあったものの、何万人ものロックフェスは僕たちも初めてでした。我々も誰一人として雨ガッパを用意していない。だからゴミ袋に穴を開けて、その穴に首と手を通して、カッパとして使っていたんですね。暖かい食べ物を求めてうちのメニューを買って『ゴミ袋が余分にあれば1枚譲ってもらえませんか』というお客さんも多くて、できる限りゴミ袋を渡していました」

 今でこそ野外フェスに参加する際は雨対策や防寒対策が必須であるけれど、当時は情報がなく、雨具を持たずにTシャツとショートパンツという夏スタイルのファンがほとんどだった。台風による強烈な風雨、そして標高が高いことによる冷え。ある種の遭難とも言っていい状況から、多くの人を救ったのが長城菜館だったと言えるかもしれない。



「ロックフェスって、大きく言えば、国境なし、人種差別なしの、国際的な平和交流の場になっていますよね。去年は少なかったけれど、海外からやって来るお客さんも、これからまた増えていくと思うんですね。上越新幹線の中で、海外から来た人が日本人に声をかけられて、『この店の人は中国語を喋られますから』と教えてもらって、うちの店に買いに来たっていう方も少なくないんですよ。台湾から来た人、香港から来た人、中国から来た人、アジアから来た人。アメリカもヨーロッパも、海外から来た人に困ったことがあったらフォローしたいし、海外の人にもフジロックを楽しんでいい思い出を作ってもらいたいと思っています」



 長城菜館のルーロー飯に代表される台湾料理は、フジロックの定番フェス飯といっても過言ではないだろう。八角などの香辛料を使った独特なにおいは食欲をそそる。そして食べれば、お腹を満たしてくれる。長城菜館のルーロー飯は、みんなにフェスを楽しんでもらいたいという愛情も加味されている。

▶︎FUJI ROCK FESTIVAL '23 出店エリア YELLOW CLIFF
 
長城菜館
本格台湾屋台がコンセプトです。台湾での定番メニューや話題のメニューなど、様々な台湾屋台飯を揃えております。お気軽に本格台湾屋台の味をお楽しみ下さい。


<text=菊地 崇 photo=片岡一史>


FUJI ROCK FESTIVAL '23
日時:2023年7月28日(金)〜30日(日)
会場:苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

ライター、編集者、DJ。フェス、オーガニック、アウトドアといったカウンターカルチャーを起因とする文化をこよなく愛する。 フェスおじさんの愛称でも親しまれている。

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