フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

エビ、カニ、タコ! フジロックで海鮮三昧

エビ、カニ、タコ! フジロックで海鮮三昧

今年のフジロックも無事終了し、フジロックロスからやっとあけ(おそい)やっと抜け殻から元に戻ってきたところ。

 もう、苗場は涼しいなんてことはないんだろうなと思っていたけど、昼の夏の暑さから、夜は羽織ものいるかもという涼しさだった。それも今年はスコールが降った日があってたまたま無装備だったため、びしょ濡れで歩いて、もどったら仲間たちに「ロックだねー」っていわれたりして。そんなフジロックのフェス飯はワタシの大好きなエビからはじまります。

 いちばん奥のオレンジカフェのエリアは今年からちょっとしたステージが復活していたりして、なかなか賑わっていましたね。

 そんな中、ワタシが目をつけたのがガーリックシュリンプ。なんせ、エビを食べるために東南アジアに旅行するほど、エビ好きのワタシですから、これを食べないわけにはいかないよね。


ニシオシティーダイナー
ガーリックシュリンプ 800円


 ガーリックがしっかりと効いたエビは、香ばしい香りとプリプリの食感がたまらなくて、ひと口食べた瞬間にご飯がどんどん進む味。ニンニクの風味がエビの甘みを引き立てていて、濃すぎず絶妙なバランス。ワタシ好みの、あらかじめ殻を剥いてあるタイプのエビだったので、手を汚すことなくパクパクと気軽に食べられて、より一層満足感がアップです。

 いっしょに頼んだレモネードスカッシュが、シュワっとした爽快な炭酸とレモンが、こってりとしたガーリックの後味を一気にリセットしてくれる感じ。さっぱりとした飲み口で、最後まで飽きることなく楽しめました。

 


 さて、ほんとは肉を食べようと思っていたのだけど、最初にエビ食べちゃったしたなーとぶらりしてると、アバロンフィールドのところで目についたのが、カニ! それも紅ズワイガニとな!

「暑いのにラーメンか?」とも思ったけど、夕暮れになってきて、アバロン横の森のところは日が陰ってきて少し過ごしやすい気温になってきた。なんとなく、食欲も戻ってきた気がする。これは、ラーメンチャンスかもしれない。

紅ズワイガニらぁ麺まるはち屋
紅ズワイガニらぁ麺 1500円


 肝心のラーメンは見た目以上に思ったよりもほぐし身のカニがたんまり乗っている印象。

 スープの上にこんもりと乗っていて、見ているだけで贅沢な気分になる。スープはふわっと広がるカニ出汁の香り。濃厚でありながら、ベースはあっさりとした塩味で、旨味だけをぎゅっと凝縮したようなスープだ。細めのストレート麺は、そのスープをしっかりと絡ませながら、するするとのどを通っていく。重たさはまるでなく、むしろ暑さで少し疲れた体にすっと染み込んでくるような、優しい味わい。見た目は濃厚だけど、意外にもさっぱりとしていて、暑い日だからこそ、こういうラーメンがちょうどいい。

 







 さて、ライブを見て、小腹減ったぞというときのアレを食べよう。きっと、いまならそれほど並んでないかも。

タコとケンタロー
たこ九条 950円


 夜になって目立つ最後尾看板をめざして向かいましたよ。

 光るタコの看板を最後の人がもつシステム、前の人から受け取ったんだけど、ちょっとファンキーなルックスの外国人だったので、ナンパもといインタビューしちゃいましたよ。

 にこやかでフレンドリーな雰囲気の方で、写真を撮ってあげるよっていうところから話が始まって、お話伺ったら日本語を勉強中だというチリから来られた方でした。いっしょにメニューを眺めながら「どれにする?」って会話して。メニューにあった九条ネギを説明するのにてこずりましたね。ネギはグリーンオニオンだけど、普通のネギとのちがいをどう伝えたらいいのか、日本人でも意外と説明がむずかしいかも。並んでいる間、いろいろ聞いたけど、日本各地のいろんなフェスを行っている方で、音楽も詳しかったです。明日何見る? なんて聞いたりして。こういう予期せぬ出会いって、フェスの醍醐味かもしれませんね。

 さてさて、ようやく手に入れたアツアツのたこ焼き。たっぷり乗っている九条ネギにマヨネーズ、下に見えるソースで期待がぐっと高まります。

 ひと口目、外側はカリッとした歯触りのあと、中は一転、とろ〜りとろけるようなアツアツの生地が広がります。これぞたこ焼きという二層構造の食感のコントラストが楽しい。

 そしてその中心にしっかりと大ぶりのタコ。プリッと弾力があり、噛むほどにタコの旨みがじゅわっとあふれてくる。めっちゃ「アツッ!」ってなりながらも、ひと口で頬張りたくなる美味しさ。ひと口はむりかと思うけど、でも食べたい。

 そして上にたっぷりと盛られた九条ねぎ。シャキシャキとした食感が加わることで、たこ焼きのやわらかい生地に心地よいアクセントをプラスしてくれます。九条ねぎの食感と、濃厚なソースやマヨネーズと絶妙に調和していて、全体の味わいをぐっと引き締めてくれる名脇役。

 ぜったい熱いってわかっているのに、一口でいきたくなる、アツアツのひと口に凝縮を楽しみたくて、またひと口で食べちゃう。まさこれは並んででも食べる価値アリな一品です。

 


 さて、エビにカニにタコ――海の幸をたっぷり味わったフェス飯でしたがいかがでした? どれも個性豊かで、味はもちろん、並んでいる間のちょっとした会話や、どこで食べるかを考える時間すらも楽しかった。そんな何気ない瞬間も、フェスの空気感があるからこそ特別になるんだなあと、改めて感じました。

 フェス飯って、単に「何を食べるか」じゃなくて、「誰と」「どこで」「どんな空気の中で」食べるかで、同じ料理でもまったく違う思い出になる。気温や天気、音楽の余韻、隣にいる人の笑顔――そのすべてが調味料みたいに、味わいに深みを加えてくれるんですね。

 不思議だけど、それがフェスという空間のスパイスで、フェス飯っていう体験なのかもしれません。

 来年のフジロックは、どんな音楽と、どんなフェス飯、どんな出会いが待っているのか。もう今から楽しみで仕方がありません。また、あの空の下で、おなかも心も満たされる時間を過ごせたら最高です。




〈Text & Photo:HAL〉


FUJI ROCK FESTIVAL’25
日時:2025年7月25日(金)~27(日)
会場:新潟県湯沢町苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com/