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フジロックへの地元出店20年!! OASISのピッツァといえば、ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ。岩原の本店へ突撃インタビュー

イタリア語の“La locanda del pittore(ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ)”を直訳すれば、“絵描きの宿”となる。ピッツァのお店になぜ、絵描き? とも思ってしまうが、その店名には次のような意味が込められている。
「ピッツァ職人は絵を描くように漆喰の壁の模様を描き、ピッツァ窯のレンガを積み、飾りつけをする。ピッツァ皿に絵付けをして、木を切り、薪を割り、畑を耕し、収穫して、生地をこね、延ばし、窯の炎と対峙してピッツアを焼き上げていく……」。
つまり、ピッツァを焼くという行為は、絵を描くのと同様に、芸術的な行為であると。
このお店が新潟県の岩原スキー場にできたのは、1984年のこと。レンガ造りの窯で薪をつかって焼き上げるピッツァの味は話題を呼び、地元はもちろん、東京からも多くの人が通うようになっていく。さまざまなところに出店をして、2008年には洞爺湖でのG8サミットでイタリア料理を振る舞うほどになっていた。いまでも本店は、岩原スキー場にある。ここを拠点として、国内に3店舗を展開している。

フジロックに通い慣れている人であれば、もしかすると、もう知っている味なのかもしれない。なぜなら、ラ・ロカンダ・デル・ピットーレは、OASISの顔でもある。20数年もフジロックでの出店を続けており、フジロックのピッツァといえば“フジロックスペシャル”と思い当たる人もいるのではないだろうか。
もちろん、今年、2025年のフジロックにもOASISのいつもの場所(OASISのいちばん奥、「越後もち豚の隣」)での出店が決まっている。このラ・ロカンダ・デル・ピットーレは地元出店ということもあって、フジロック前ではあるけれど、岩原の本店に行って「フジロックへの意気込み」を伺ってみた。話をしてくれたのは、当店の“Pizzaiolo(ピッツァ職人)”でもある、高橋和彦さん。やはり、フジロックへの想いは熱く、深い!!

ラ・ロカンダ・デル・ピットーレのピッツァ職人、料理長の高橋和彦さん
フジロックは、特別です。OASISは木曜日の前夜祭からのオープンとなるので、4日間の戦いです。しかも、雨も降れば風も吹く、野外での提供が基本となりますので、それなりの工夫は必要となりますね。
たとえば、ピッツァの味付けにしても、お店とはちがった考え方で対応しています。まずは、“飲みたくなる”ようにしっかりとした味付けを考えること。うまみをしっかりとね。フジロックですから、やはりピッツァにはピールですよね。そこで、フジロックの期間中だけ食べられる“フジロックスペシャル”をメニューに追加しています。

フジロックの現場でしか食べることのできない貴重な一枚。その名も“フジロックスペシャル(2,200円)”。ハーフサイズ(1,150円)もある
このピッツアは、ハム系のもの、たとえばサラミなど味がしっかりとしたものをトッピングしています。なぜかといえば、海外の人たちの好みでもあって、そこに寄り添うかたちで。フジロックは海外のお客さんもたくさんいますからね。人気メニューですよ。
あと、野外での工夫といえば、生地づくり。生地って生きているので、湿度によってその状態が変わって来てしまうんです。人の肌と同じで、自分でもなんか乾燥しているなと感じるときは、同じく生地も乾燥していて。生地の水分量が変化しているんですね。ここがポイントです。フジロックは生地の管理がとてもセンシティブで、発酵の具合とか、素材の配分を考慮していますね。
もうひとつは焼き。お店でもその場で焼き上げて“見せる”部分も大切にしていますので、そういった意味で、野外でも電気オーブンではなく、窯で焼き上げるようにしています。窯も生き物なのかと思うことがありまして。たいていは開店の1時間前くらいに火入れをするのですが、ピッツァを焼く度に、また日を重ねていくごとに、窯の調子が上がってくるんです。窯も気分屋ですよね。
とくに売れる時間帯とかは決まっていなくって、フジロックの場合は、朝一からビールにピッツァのスタイルの人も多いです。フジロックらしいというか。なので、フジロックスペシャルだけでなく、種類に関係なく、けっこう出ますよね。後半になってくると食べ疲れもあるのか、デザート系のピッツァに注文が集まることもあります。
売れる時間というよりは、天候は少し影響してくると思っています。たとえば、暑いときにはフジロックスペシャルをはじめとしたお肉系のものが出やすいですし、寒いときはクアトロフォルマッジョのようなトロリとしたピッツァが人気です。4種類のチーズにハチミツをかけて食べるアレですよね。あとは、暑いときにチーズなしが好まれる傾向もあるかもしれません。チーズの入っていないトマトとアンチョビのマリアーナとか。
前夜祭も入れての4日間で、だいたい3,500枚は売れています。窯で1回に焼ける枚数は、3枚から4枚ですので、それはもう休みなしの状態です(笑)。むかしは現場に泊まっていたこともありますが、いまは、通いでやっています。これも地元の強みといいますか。この4日間はかなりハードな日々ですので、家に帰ってベッドで眠ることでしっかりとリセットして、またフジロックに参戦していく。毎年、そんな具合です。
ただ、フジロックの場合、お客さんとの距離感がとても近くて、お店ではなかなか味わえない感覚があります。出店するわたしたちもフジロックに参戦しているという一体感が生まれて来て、それは独特のものですよね。とにかく、みんなフレンドリーなんです。フジロックはやはり特別なんですよね。非日常のお祭りが4日間も続いて、そこにみんながいっしょに居るわけですから。だから一体感があるのかもしれませんね。
フジロックに参加するようになってから、もう20年は経っているのですが、これは地元出店の誇りでもあるんです。過去にはパスタに挑戦したりして、いろいろと試行錯誤をしていたのですが、パスタって野外で提供するのがむずかしいんです。うちでは乾麺を使っていたこともあって、つくって提供するまでのオペレーションがうまく確立できなかったかなとも思います。それでも、6、7年は続けていたのですが……。そうこうしているうちに、フジロックスペシャルにたどり着いた感じはありますね。
どちらにしても、おかげさまで楽しく、忙しくしています。今年もOASISのいつもの場所でお待ちしていますので、ぜひともビール片手にフジロックスペシャルを楽しんでくださいね。

ラ・ロカンダ・デル・ピットーレの本店は、苗場会場からもほど近い、岩原スキー場のゲレンデ前にある。なんだかとても気になるお店。フジロック後に立ち寄ってみるのも、ありなのでは? ちなみに高橋さん曰く、フジロック期間中の本店営業は、状況次第とのこと。この期間中は、OASISでの特別な味を楽しんで欲しいということでしょう。めざすは、OASISのいちばん奥ですね。スタッフのみなさんはフジロックに総がかりになるかと思いますが、4日間のフル回転、ご無理をなさらず。でも、楽しみにしています!!

こちらはお店でしか食べられない人気のメニュー。半熟卵とブリア(ベーコンハム)、トリュフバターのピッツァ“ビスマルク(3,560円)”
◼︎ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ「窯焼きピッツァ」
2025フジロックのメニューは以下(予定)
1.フジロックスペシャル 2,200円
2.フジロックスペシャルハーフサイズ 1,150円
3.マルゲリータ 1,950円
4.ナポリ 2,050円
5.サラミ 2,200円
6.クワトロフォルマッジ 3,400円
7.マリナーラ 1,950円
8.ハニーナッツ 2,100円
9.ピッカンテ 1,850円
10.カルツォーネ 2,100円

FUJI ROCK FESTIVAL’25
日時:2025年7月25日(金)~27(日)
会場:新潟県湯沢町苗場スキー場
https://www.fujirockfestival.com/