フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

ロックオンザビーチで味わったお店とのコミュニケーション

ロックオンザビーチで味わったお店とのコミュニケーション

三河湾のビーチ沿いの会場で2005年にスタートした「ロックオンザロック」。そのビーチは「吉良ワイキキビーチ」と呼ばれているように、リゾート感も漂っているエリアだ。

 自分達の暮らす地域を愛する人たちによって、地域を盛り上げるためにはじまったフェスである「ロックオンザロック」。残念ながら東日本大震災の数年後に開催されなくなったけれど、地域への思いは確かな遺伝子となって継承され、今年「ロックオンザビーチ」として開催された。「ロックオンザロック」よりも規模は小さくなっていたけれど、同時に「ウミデマルシェ」が行われるなど、ライブだけではなく、いろんなコンテンツがラインナップされていた。特にフェス飯では、小さなフェスでしか出会えない地元の味があった。フェス飯を作ってくれる出店者と、その味を頬張る参加者のコミュニケーション。それは次から次へとお客さんがフード出店に並ぶ大きなフェスでは難しいものなのだろう。


Kisaku 串カツ2種(豚&ヤングコーン)400円/牛トリッパのトマト煮込みマカロニ添え800円


 ライブエリアに出店していたKisaku。ご主人のKさんがイタリアンで、奥さんのまりさんが関西出身とあって関西風惣菜を提供してくれていた。

 このお店がおもしろかったのは、時間によってメニューが変わっていくこと。あるメニューが売り切れになったとしても、あるもので新たなメニューが加わっていく。フェスというイベントでフェス飯を提供しているのではなく、そこがその日の自分のお店でもあるかのように、さまざまな料理が展開されていく。「ロックオンザビーチ」のインスタグラムでの紹介には、「西幡豆のイタリア料理活動家」と紹介されていたけれど、なるほど出前シェフみたいな感覚で、このフェスにも参加していたに違いない。味は串カツもトリッパのトマト煮込みも申し分なし。
 




AMIDA 山菜(ワラビ)のタコス700円

 地元も愛知~三河エリアではなく、岐阜の郡上でカフェなどを展開しているAMIDA。キャンプ&ホステルやサウナなどもある、衣食住でのアウトドアスタイルを提唱しているユニークな場所だ。

 「山菜のタコス」が目に入ってしまって注文。タラの芽、コシアブラとヒメタケ、ワラビの3種類のなかからワラビを選んだ。「山菜のタコス」なんて初めて目にしたし、初めて食べた。ワラビのほのかな苦味とぬめりが、タコスとの相性がいい。試行錯誤を繰り返してこのメニューにたどり着いたのだろうけど、山菜をタコスにしようというアイデアに感心してしまう。こんな「他ではなかなか出会いないメニュー」に出会えるのも、地域発信のスモールフェスの魅力なのだろう。

 




松BAR  松にぎり(サバ)400円

 無料エリアのウミデマルシェに出店していた松BAR。松葉専門店と書かれているけれど、松の葉のメニューがどういうものか、さっぱりイメージがつかず、まずは話しかけてみた。

 松の葉は殺菌作用があり、松の葉を細かくしてお米と一緒に炊くことによって、より安心・安全なご飯として味わえるという。「育てている間などに付着してしまったものを松の葉が取り除いてくれる」のだと教えてくれた。松の葉とお米を一緒に炊いたご飯で握ったのが、ここの松にぎり。サバのおにぎりをオーダー。炊きたて握りたてではなかったけど、確かにおいしく感じられた。松は縄文時代から常食されていたということも教えてもらった。話して、味わうことでいろんなことを学ぶ。そんなメニューのひとつが松にぎりだった。

 







<text・photo=菊地 崇>



Rock on the Beach
開催日時:2025年5月17日(土)、18日(日)
会場:at Cafe Goofy(愛知吉良ワイキキビーチ前))
https://www.instagram.com/rockonthebeach____/