フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

台湾のビッグフェス『大港開唱』への出店。ナインゲートバーガーの新たな挑戦

台湾のビッグフェス『大港開唱』への出店。ナインゲートバーガーの新たな挑戦

アラバキやフジロック、ライジングサンなど、日本を代表する数々のビッグフェスにフード出店している「ナインゲートバーガー」。「松坂牛入りバーガー」が気になって、食べたことがある人も多いだろう。

「会社は三重県なので、松坂牛が手に入りやすいんですよ。松坂牛のいいところを取り入れたハンバーガーを作りたいなって考えたメニューなんです。ただ松坂牛バーガーにしていないのは、すべてにおいて松坂牛が優れているわけじゃないから。ほかの牛肉、たとえばアメリカ牛のほうがハンバーガーのパテにしたときには優れている部位もある。それぞれの牛肉のいいところを入れて、お手頃感とおいしさをマッチさせたのが、うちの松坂牛入りバーガーなんです」と語ってくれたのは、ナインゲートバーガー代表の平出竜也さん。


 平出さんは、日本の味を世界に広めようと今年の3月後半に台湾の『大港開唱』というフェスにも出店してきた。『大港開唱』の英語表記は“Megaport Festival”。台湾の南部に位置する高雄市の海辺で開催されているフェスで、今年で16回目。台湾最大級のフェスと言われている。台湾新幹線の南の起点が高雄市だ。『大港開唱』には台湾のアーティストを中心に、フレーミング・リップスやバトルズが出演。日本からもくるりやCreepy Nuts、広末涼子などがラインナップされている。

「私たちは日本でも催事への出店からスタートしているんです。それで台湾でも催事に出店するようになって、ご縁がつながって応募してみたら、大港開唱にも出店させてもらえることになったんです。大港開唱ではハンバーガーではなく、牛ひき肉とご飯のメニュー。日本のフェス飯を持っていきたかったのでご飯にしました。会場は芸術区と呼ばれているところで、再開発されたおしゃれゾーンなんです。我々が出店していたフードエリアは無料で、ライブのエリアのみ有料。2日間でチケットの販売数が6万枚で、全体の来場者は30万人とのことです」

 日本のフェスで言えば、横浜で開催されているグリーンルームに近いのだろう。フェスが目的ではなく、多くの観光客も訪れる場所。そこに100軒以上のフード出店が並んだという。

「メニューは本当にバラエティで、ローカルな台湾の屋台料理もあれば、台湾人の方がやられているたこ焼きやお好み焼き、タコスなどのメキシカン、そして様々なスイーツ。台湾は夜市があるので、露店が当たり前なんですよね。だから日本と比べるとルールは厳しくない。これは危ないからやめておこうっていうのではなく、できる限り衛生的にして続行していこうというスタンスなんですよね。その前向きさっていうのか、こうしていこうっていう姿勢は勉強になります」

 日本のアーティストが、台湾を含めアジア各国でライブすることは珍しいことではなくなった。数多くのアジアのアーティストが日本でライブツアーをしているし、フェスにも出演している。日本のフェスに参加するアジアの人も、確実に増えている。フェスにおけるアジア内での交流は、年を重ねるごとに盛んになっている。

「これからもチャンスがあれば台湾のフェスに出店していきますよ。目標として、いつか香港のクロッケンフラップに日本のフェス飯で出店したいと思っているんです。一度行ったことがあるんですけど、言葉で言い表せない味わいがある。規模で言えば、フジロックなどの日本のフェスのほうが大きいのですけど、香港はいろんな国の人が集まる。僕らの日本のフェス飯が世界の人にどう受け入れられるのか。それを感じたいんです」

 農林水産省の発表では、インバウンドが来日する前に日本に期待していることの1位が「日本食を食べること」。日本食に関しての注目度は海外でも高い。フェス飯で日本から世界に向かう。もしかしたら平出さんはその先駆者になるのかもしれない。
 








<text・photo=菊地 崇>



ARABAKI ROCK FEST.25
日時:2025年4月26日(土)〜27日(日)
会場:みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
https://arabaki.com/