フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

【フェスの鉄人】キッチンカーからスタートして、食べログ百名店へ。Pizza Bakkaのナポリピッツァへの熱い思い。

【フェスの鉄人】キッチンカーからスタートして、食べログ百名店へ。Pizza Bakkaのナポリピッツァへの熱い思い。

ピザ窯を搭載したキッチンカーを初めて見たのはいつだろう。今ではフェスでも焼きたてのピッツァを食べられるようになったけれど、10年前には熱々のナポリピッツァはフェスでは「特別なメニュー」だったように思う。
 
 食べログで「ピザ百名店」に連続して掲載されているのがPizzeria Bakka M’unica 。東京・鮫洲にある実店舗からのスタートではなく、キッチンカーからの船出だったという。

「とにかくピッツァが好きだったんです。会社を辞めて、自分で何かをはじめたいなって思った時に、ピッツァのことしか浮かばなかったんですね。キッチンカーでスタートした13年前に、ナポリピッツァはまだ知名度が低かったんです。おいしい出来たてを安く食べられる。少しずつナポリピッツァのお店は増えてきていましたけど、もっといろんな人に味わってもらえるのは、どこかに場所を借りてのお店じゃなくて、いろんな人が遊びに行くお祭りのような場所でピッツァを焼けたらなって思い浮かんで。それで車に窯を作れないかなって考えたんですね。ほとんど誰もやっていませんでしたし」とPizza Bakkaの硲 由考さん。

 キッチンカーでの最初の出店は、友人が働いていた水泳教室の駐車場。それが春のことで、その年の夏に開催されたサマーソニックにトントン拍子で初出店した。

「何もわからない状態でしたから、マジでやばかったですよ(笑)。応募したら通ってしまって。フェスの出店なのに、何を用意していいのかさえわからない。看板も、ブースに掲載するメニューも作っていませんでしたから。オペレーションが悪くて、自分でも呆れるくらいのダメダメで。次はないなって思っていたんですけど、次のイベントにも参加させてもらえることになって。先輩たちのブースを見て、こうやっていけばいいのかっていうのを手探りしながら」

 フェスやイベントでの出店を続けていくことで、出店のノウハウを学び、それが実店舗へと繋がっていった。
「フェスであれば、1日に100枚は超えます。でもレストランの形態であれば、昼に20枚、夜に20枚っていうのがザラなんです。その数字だと新しい職人さんを雇うことができない。けれどフェスでは、新しい職人さんを迎え入れないとやっていけない。確かにフェスの現場はきついですけど、自分でピッツァを焼きたい、ピッツァの職人になりたいっていう人の登竜門としては、うってつけの場所だと思います。しかもフェスはお客さんがメッチャ楽しそうで、その楽しさがこっちに伝わってくる。おいしくて元気になるものを出したいって、自然と思いますから」

 フェスの出店ではメニューを絞っているという。それはできるだけスピーディーにピッツァを提供したいという思いに他ならない。注文を受けてから焼く。作りおきではなく焼きたてのナポリピッツァ。ピザ百名店のレストランと同じ味がフェスでも味わえる。

 





<text・photo=菊地 崇>




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