フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

フジロックでご当地メニューを巡って味の日本旅へ。

フジロックでご当地メニューを巡って味の日本旅へ。

 開催される地域の味をフェスで味わう。それもフェスの大きな楽しみのひとつだ。「名物にうまいものなし」ということわざがあるけれど、そんなことは決してない。食が多様化され、そのなかで愛され続けている名物は、今ではうまいものだらけと言っていい。

 日本を代表するフジロックでは、各地で愛されている「おらが町の味」が軒を連ねている。和食がユネスコ無形文化遺産に選ばれているけれど、味によってその地域の魅力を知るきっかけにもなる。ご当地飯を味わうフジロック3日間の日本旅へ。


麻麻はち屋(鳥取県境港)/カニみそ麻婆飯 1,500円

 鳥取県境港にあるカニ専門店。甘エビも魅力的だったけど、山陰のカニ専門店ということで麻婆かに味噌飯に。紅ズワイガニを使った濃厚なカニソースと山椒がピリリと効いた麻婆豆腐の二色盛り。カニソースはまろやかなカニみそと表現したらいいのか、甘さと苦味が絶妙にマッチングしている味。いっぽう麻婆は辛さよりも痺れが強いタイプ。それぞれ味わいつつ、最後にはふたつを混ぜ合わせて味変させた。ご飯に合わせることでご飯と一緒に食べることで絶品メニューとして完成する。そんな丼だった。付け合わせのような存在に見えたカニのほぐし身は、メインディッシュのように存在感を現していた。
 境港のお店ではご飯ではなく麺料理(ラーメン)として紅ズワイガニのソースを使っているという。「このソースがご飯ではなくラーメンになるのなら、どんなスープがベースになっているのか、どんな麺を使っているのか。今まで食べたことがないラーメンなんだろうな」。そんなことも頭を巡らせて食べていた。
 





沖縄ポークそば 壺屋店(沖縄県那覇市)/もずくそば 800円

 今年のフジロックの天候は上々だった。晴れが続いてもきついし、雨ばかりでも辛い。ほとんどが曇り空で、最高気温は30度に到達するかしないか程度。雨の時間もあったけど、それもちょっとだけ。最低気温は10度台まで下がった。猛暑だった東京などと比べたら、まさに別天地だった。

 そんな苗場でも、午前中に強烈な日差しで暑くなった時間があった。そんなときに見つけたのがキャンプサイトにあった「もずくそば」。さっぱり食べられるだろうと期待してオーダー。もずくが練りこまれた麺を使った冷たい麺だと思っていたのだけど、そうではなくて、いわゆるもずく酢。居酒屋メニューにもある、あのもずく酢だ。ちょっと甘みが強かったから三杯酢か? 量はそこそこあったけれど、飯というよりもやっぱりつまみ。午前中に食べるのではなく、午後か夜の、もう一品追加したいっていうメニューだったら良かったんだけど。
 





野毛焼きそばセンターまるき(神奈川県横浜市)/素焼きそば 800円

 昭和の雰囲気が残る飲屋タウンとして大人気の横浜の野毛。せんべろのメッカで、昼飲み可能な飲み屋も多い。そんな野毛から苗場に出店していた焼きそばセンター。野毛にあるお店の前を通ったときに「フジロック出店」と張り出されていた。ちなみに野毛本店は食べログで3.47の高評価。

 屋台メニューの定番といえばかつてはソース焼きそばだった。B級メニューの王道。まるきの焼きそばは、太い麺に甘めのソースが絡んだ安心安定の味。これがビールにマッチする。新しいフェス飯に挑戦するのではなく、「これ!」って戻っていってしまう味。それがここの焼きそばだった。
 






<text・photo=菊地 崇>




FUJI ROCK FESTIVAL’24
日時:2024年7月26日(金)~28(日)
会場:NAEBA SKI RESORT

https://www.fujirockfestival.com/