フェス飯クラブ / Fesmeshi Club

フェス飯史上最高額? 池澤の極上うな重をフェスで舌鼓。

フェス飯史上最高額? 池澤の極上うな重をフェスで舌鼓。

記憶があやふやで、いつ頃までそうだったか確かではないけれど「フェス飯はワンコイン」が長く続いていた。500円で気軽に食べられるメニュー。今のように多種多様なメニューがあるわけではなく、何を食べたいかではなく、何を食べられるか。メニューが豊富になったから値段が高くなっていったののか。値段を高く設定するようになったことでいろんなメニューが登場していったのか。そのどちらも言えているのだろうけど、とにかくフェスで食べる飯は、値段が上がっていくのと同じカーブで美味しくなっていった。

 そして今年のフジロック。自分史上、もっとも高価なフェス飯が現われた。ORANGE CAFEに出店していたうなぎの池澤の「極上うな重」。なんと4500円。ずいぶん前なら3食3日分の値段だ。フェスで食べるにはかなり勇気がいったけれど、夏土用の期間で、暑い夏のエネルギー源として苗場に入る前には「うなぎを食べたい」と強く思っていたこともあって、奮発した。


うなぎの池澤/極上うな重4500円

 池澤は大正8年創業の高知の老舗鮮魚店。ホームページを見ると、うなぎだけではなくカツオなども通販で扱っているお店だ。高知のお店でうなぎを蒸し、それを真空パックして苗場へ。苗場ではそれを一枚ずつ炭火で焼いていた。うなぎ屋さんの前を通ったときに感じる「うなぎを焼くにおいだけでご飯が食べられる」というほどのにおいはなかったけど、それでもそそられる。

 極上うな重は、肉厚のうなぎが一本まるまる使われていた。うなぎの2枚盛り。蓋を開けると香ばしいにおいが漂ってくる。うなぎに箸を入れる。すっと切れる感覚。そしてそれを口に。甘いうなぎの味が口のなかで広がる。身は柔らかくてほろっとした食べ心地。スーパーで売られている中国産とは確実に違う味わいだ。次に山椒を振りかけてから一口。あっという間にうなぎ1枚を平らげてしまった。2枚目はご飯とともに。これもやっぱり合う。うなぎのタレは、関東で食べるものよりもややさっぱり。

 苗場での池澤のうなぎのメニューは5つ。極上のほか、うな重、うな重(小)、うなぎおにぎりと白焼き。きっとうな重はうなぎ半分。極上は「うなぎを食べた」という満足感が半端ない。池澤の人曰く、極上をオーダーした人は予想以上に多かったという。国産のうなぎ(ニホンウナギ)の稚魚の不漁はしばらく続いていて、うなぎの値段は上がっている。街中で食べたとしても5000円の国産うな重は決して高いわけではない。その部分を考えると、苗場で美味しいうなぎを腹一杯食べられるのなら、フェス飯としては高価であったとしても満足感はそれに見合うだけのものはある。ただフェス飯で「うな重」を食べるのなら、うなぎ一本を使った極上ではなく、2300円のうな重でいいかもしれない。ご飯とうなぎのバランスを考えたら、半身でも十分に食べて笑顔になれる。
 








<text・photo=菊地 崇>




FUJI ROCK FESTIVAL’24
日時:2024年7月26日(金)~28(日)
会場:NAEBA SKI RESORT

https://www.fujirockfestival.com/